投資

FX初心者が負ける確率を下げるための分析や管理方法

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FX関連の情報を見ていると、とても危なっかしい情報にあふれています。大手の機関投資家では取り得ないようなリスク量でシステムシグナルに基づき盲目的に売買をするもの、定性判断も使っているがYoutubeなどではあたかもテクニカル指標だけで勝てるような雰囲気をだしているものなど、プロの投資家から見ると危なっかしい情報が多いです。そのような情報発信をしている人たちは、基本をおろそかにしている(理解していない場合もあると思われる)か、勝つための重要部分は実はシェアしていない可能性があると思います。

事後的にどのようなポジションをとったかは何とでも言えますし、損したときは開示していないことがほとんどだと思います。そのための知識のつけ方や経験値のつけ方として参考になるものは僅かです。ここでは、ぼったくられないようにするにはどのような知識やポジション上限(特にレバレッジ水準)を作ればいいのか、書きたいと思います。いきなり100万円FXに突っ込んで高レバレッジでロスカット3回連続かかって10万円になりましたなんてことも充分あり得ます(悲しすぎますね)。

ブロガーとしては、初心者です。6月中旬にサイトを作成し、日々市場動向や趣味に関する情報を出して、少しずつ読者も増えてきました。100記事目としてどんな記事を書こうか考えた時に、世の中で誤解されていて正しい情報発信をすることで貢献できるものがいいなと思ってこの内容にしてみました。

為替相場の決定要因(ファンダメンタルズ)

以下は、為替相場がどのように理論上決まるかをまとめています。まず、為替は通貨と通貨の交換レートなので、あくまで相対的な価値を示します。これを踏まえて、2国間(地域)の通貨レートは、①それらの金利差(金利平価)、②物価水準の違い(購買力平価)、③それらの通貨の需要の変化、④水準観(バリュエーション)の4つが挙げられます。

①金利差(金利平価)

例えば、アメリカの金利が日本の金利よりも高いとします。そうすると、日本の定期預金を買うよりもアメリカの定期預金を買う方が金利が高いから、円を売って米ドルを買い、アメリカの定期預金が買われます。
  アメリカの金利>日本の金利⇒アメリカの方が儲かる⇒ドル買い円売り

ただ、定期預金が満期になる頃のアメリカの預金利率は旺盛な需要を背景に低下してくると予想され、ドルが対円で減価するとの期待が高まり、将来どこまで為替レートが変化するかというと、アメリカで運用しても日本で運用しても収益率は同じ水準になるまでです。つまり、金利が上がって外貨が買われるのはその収益率がバランスするまで、つまり裁定機会がなくなるまでです。
 つまり、円で円の定期預金を運用した収益率と円をドルに換えてアメリカの定期預金で運用し満期にドルを売って円にした収益率と同じになります。これを金利平価と言います。
 そして、ドルが対円で減価すると予想されることを為替フォワードでの調整を使い説明したもの(円をドルに換えると同時に為替フォワードで逆ポジションをとり為替変動リスクを負わない場合)をカバー付き金利平価といい、将来時点でのドル円レート(スポットレート)の調整で説明したものをカバー無し金利平価といいます。現実には、前者のカバー付き金利平価を前提として議論されます。

私の感想

金利差要因でレートが動くのは、政策金利の発表タイミング(金利差そのもの)と、1か月スパンで見た金利平価レートが感度が高い印象です。所謂、スイングやスキャルピングでは使えないでしょう。政策金利も市場予想から乖離して発表されないとインパクトは小さいです。
 1か月スパンで1年間程度の運用を想定すると金利差から求められる金利平価レートはそこそこ優位になってきます。
 また、シンガポールのような通貨政策を金融政策の主な手段としている国では、通貨安誘導をする場合は、将来的なシンガポールドル減価見通しから為替フォワードが対米ドルや対円で売られ、同通貨のインプライドレートが上昇し、短期金利の上昇につながるということも観測されます。政策手段なども把握しておくことが重要です。

②物価水準の違い(購買力平価)

物価が上がると、通貨の購買力は下がります。有名なものはビックマック指数といって、マクドナルドのビックマックの価格水準を世界的に比較するようなものがあります。物価が上がると、ビックマックの値段も上がっているはずで、それは同じ給料で買えるビックマックの数量が減ったことを意味する、つまり、購買力が低下しています。
 例えば、日本のビックマックの価格が2倍になったのに、アメリカのビックマックの価格が変わらなければ、日本円の価値(購買力)が半分になっているということです。もし、日本の方が高いならば、商社が大量に冷凍ビックマックをアメリカから輸入し売りますよね。どこまでやるかというと、円建てビックマックの価格×ドル円為替レート=米ドル建てビックマックの価格までです。①の金利を使った裁定取引の商品版ですね。

私の感想

購買力平価が成り立つための裁定取引は金利裁定のように簡単ではありません。したがって、時間をかけて調整していくことになります。実際に、購買力平価で求めたドル円レートは90円前半と推定されることが多いですが、足許の為替レートは100円台ですよね。ただし、個人的には長期運用する時には、非常に説明力があるモデルだと考えており、1年スパンで5年超運用する場合のアセットアロケーションをする際には参考にしています。

なお、金利平価が短期的、購買力平価が長期的な為替レートの評価に有用との認識が一般的です。
 物価も上がっているということは、物価の安定をその国の中央銀行が目的としているならば、政策金利を引き上げて相対的な通貨価値を上げ物価を抑えようとします。つまり、金利は政策金利の引き上げとともに上昇します。
 また、逆も言えます。日米の金利差が拡大しているということは、米国の金利よりも日本の金利の方が低く、つまり日本の内需へのサポートが強いため、日本の経済活動がより活発化し経済成長がなされることが予想されます(しばらく起きていないですけど。。。)。経済成長が高まると物価が上昇し、通貨の購買力は低下(例えば円安)します。
 このように、物価と金利は相互関係性があることから、分断して考えることはできませんが、時間軸としては分けられるので、短期的には金利差を重視し、長期的には物価水準を重視するといった結論になります。

③実需取引

ここでは、経常取引と資本取引に分けて説明します。

経常取引は、財(貿易取引)やサービスの輸出入に、海外との利子や配当金の受払、海外援助の受払などを含めた取引を言います。したがって、厳密な定義を無視(取引認識基準の相違等)すると経常収支は、①貿易収支②サービス収支③第一次所得収支(海外への投資にかかる利子や配当の受け取りと支払いの差額)④第二次所得収支(海外からの仕送りと海外への仕送りの差額)の合計となり、①の貿易収支が大きなウエートを占めることが多いです。
 経常黒字国は、貿易黒字国となっていることが多く、輸出代金を外貨で大量に受け取り、円に換える必要があるので、外貨売り円買い需要が構造的に発生します。

資本取引とは、直接投資、証券投資、およびその他の投資(外貨預金や銀行融資など)で構成されます。直接投資は、日本企業が海外に生産や販売のための現地法人を設立したり、海外企業を買収したりすることを目的に行う投資等が含まれています。
 日本企業が海外への投資に充てるために外貨を購入するので、外貨買い円売り要因となります。つまり、日本企業の海外大型M&A(In-Out型)などが発表される時に大きなフローがでるのはこのためです。特に、買収先が米国以外の場合は為替取引市場のキャパシティに対して買収額が大きくなり値動きも荒くなる傾向にあります。最近では2018年の武田薬品工業によるアイルランド製薬大手シャイアーの買収資金の手当てで英ポンドの買い需要が高まったことが記憶に新しいです。

私の感想

経常フローの内で貿易フローは比較的平準化されて為替取引が行われるので、為替へのインパクトはよほど大きく変動しない限り影響が大きくなりませんが、例えば日系企業の想定為替レートの前後を挟んで大きく乖離するような値動きになると企業による為替ヘッジ取引が急増する局面があります。
 また、フィリピンのような出稼ぎ労働者が多い国は、第二次所得収支(海外からの仕送りと海外への仕送りの差額)関連の取引が年末(一般的にはクリスマスより前)に増えて外貨売りフィリピンペソ買いのフローが出やすいです。
 さらに、タイのような外国企業(日米)が経済活動上重要な地位を占めている場合、その外国企業の配当フローで自己通貨が変動することがあります。一般的にはタイでは4月に配当フロー(在外子会社から本店への配当)が多くでるので、タイバーツは軟調になりやすいです。
 以上のように、経常フローは普段は大きな攪乱要因にはならないものの、国の経済構造によっては大きな季節性を持っています。ここで重要なことはその国の経済構造を正しく捉え、毎期どのような変化があるかを想定することです。

一方、M&A絡みのフローは突然発表されるので、瞬発力がないと置いて行かれるケースがあります。テクニカル分析上の攪乱要因にもなりやすく、このような動きがでているのに、従来使っている割安感を図るテクニカル指標を使っているとロスカットになることもあります。

④水準観

ここでの水準観は、RSIなどでの割安感ではなく、為替レートを貿易相手国との取引量で加重平均して更にインフレ率も加味した指数化した通貨価値で、国際決済銀行(BIS)などでデータを確認できます。つまり、インフレ要因を除いた中長期的に割安か割高かを判断するための材料として使うことが多いです。

私の感想

個人的な使い方は、トレンド線を引き、それよりも大きく乖離している所で割安割高を判断しています。ただし、トレードのペア通貨の選択はこれではできないので、別のロジックを併用して考えています。

テクニカル分析

足許の相場動向を抑えるには、テクニカル分析は有用です。ただし、上で書いたファンダメンタルズ要因をより重視して投資を行っています。デイトレやスキャルピングで勝負するなら、特にトレンドフォロー型の投資パターンを作っていくといいでしょう。

テクニカル分析が有用である局面

私がテクニカル分析を見るときは、ファンダメンタルズイベントがないときです。つまり、米雇用統計やFOMCなどの経済指標・政策金利発表前、季節性を伴う経常フロー、金利市場のボラティリティが上昇、地政学リスクが発生、などのケースではあまり参考にしません。それらがなく、ロジックで通貨を詰められない場合にテクニカル指標をみます。

重要イベント前のポジション量

個人でFXをやる場合も、重要イベントでボラティリティが上昇することがわかっているのにリスク量を落とさないケースは理解に苦しみます。ヒストリカルボラをファクターとしていてもリスク量は下がるはずです。定量ツールでリスク量が局面によって変わらない場合は注意が必要で、小さく何回も買って大きく負けてトータル負けるといったことが発生し得ります。バックテストで織り込めるようなボラサイクルは入れた方がいいと個人的に思います。

ヒストリカルボラでなくても、ボリンジャーバンドの2σ値に日足でヒットしたらリスクを落とす(ポジションを消すのではなく)等の対応をしてやっています。

重要イベントがないときポジション量

皆さん、主要ヘッジファンドのレバレッジがどれほどか知っていますか?CTAなどでも10倍行かず、債券系では3倍程度です。プロでそれぐらいの水準であるのに対し、FX個人で20倍等でやってストップがつかないはずがありません。スタートは高くても3倍程度から始め、慣れてきたら5倍~7倍ぐらいでやってみましょう。個人的には平時は5倍、イベント前は3倍ですかね。

負けにくいポジション構築

まずは、ファンダメンタルズの4要素を分析して、どちらの方向に行くべきか頭にしっかりいれます。そのベースポジションに加えて、テクニカル指標をみながらポジション量を上げ下げすることがいいでしょう。損切りを上手くなりましょうというコメントがよく見られますが、人間も動物である以上、バイアス(行動経済学を参照)があるためできないと考えた方がいいです。その代わり、テクニカル分析で作ったポジションはイベント前には落とせる仕組みを考え、ファンダメンタルズ要因に中長期的にベットできるような環境を作りましょう。そのためにも、平均的なレバレッジは下げることをお勧めします。

モニタリング方法

Bloombergやロイターの端末を個人で持っていることはレアでしょうから、FX会社の即時情報がメインとなると思います。

マーケット情報の図表作成ツール

個人的におすすめなチャートを作れるサイトは、Tradingviewです。無料で様々なインディケータを入れて図表を作れます。

テクニカル分析によるシグナルをまとめて見れるツール

外為ドットコムが提供する「ピタンコ」テクニカルというツールです。これは上にあげたテクニカル指標での売買シグナルと方向性を一覧で通貨別・足別に見れるもので、普段テクニカル指標を重視しない人や初めてFXをやって自分で売買シグナルを認識できない人にはお勧めです。

自分で勉強したい人には以下の本がおすすめです。

まず、「チャートの鬼」という本。これは初版が1994年で、長く銀行のトレーダーや運用会社のファンドマネージャーの若手教育用に重宝されているものです。1日で読めちゃいます。

次は、私がいた金融機関が訳してますが、「先物市場のテクニカル分析」です。初版が1990年で非常に網羅的で読み応えもあります。難点は分厚いので疲れます。休み期間中にゆっくり読んでみて下さい。

ファンダメンタルズ分析

これは、各FXサイトでデータやヘッドラインなどは取れるはずです。問題は解釈までやってくれるサービスはとても高額ですし、自分で何もわからずやるのも無謀なので、出てきた数値を自分なりに理解できるようにすべきです。

経済指標解説テキスト

とてもスタンダードな本ですが「投資家のための金融マーケット予測ハンドブック」がおすすめです。各指標の使い方も丁寧に書いています。特に米国のパートは秀逸です。一方、エマージングのパートは導入としてはいいですけど、もの足りない内容となっています。テクニカル分析も少しですが載っていますよ。

国際経済学テキスト(金利平価・購買力平価・アセットアプローチ等)

はじめて学ぶ国際経済」は、ほんとに名著です。コンパクトで安い。そして、議論が非常にロジカルに展開されていきます。日本の著名な経済学者のテキストの中にはロジックが飛びまくっている本もありますが(だから優秀でないということではないですけど)、この本は経済指標を一通り理解した初学者にもおすすめです。

マクロ経済学(国際経済学の基礎)

いきなり「はじめて学ぶ国際経済」でも充分だと思いますが、基礎であるマクロ経済学の初歩から勉強したい人には、「ブランシャール マクロ経済学(上下)」が一番お勧めです。

その次にお勧めなのが、クルーグマンの「マクロ経済学」。学者としてはも日本に来て公演をしています(1回だけ出ました)。わかりやすいですが、初学者にはブランシャールがベターです。

バリュエーション(ファンダメンタルズ)

実質実効為替レートは、国際決済銀行(BIS)などでデータを確認することをしましょう。自分で再現もできますが、そこに時間をかけるのは機関投資家でない限りもったいないです。

国際決済銀行(BIS)サイト

実需

これは、ヘッドラインで追う、こちらのようなブログをチェックする、また、「IMM投機ポジション」を見るといった対応方法があります。IMM投機ポジションとは、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)で取引されているIMM通貨先物建玉の内訳です。
 データとしては遅いので、私の使い方は大きくロングかショートにポジションが傾いていることを確認したら、その巻き戻しの動きが起きないか警戒をするサインとして使っています。これも外為ドットコムのサイトでみれます。

まとめ

全ての投資に言えますが、50%を超えるリターンを継続的に上げるなんてことは無理かよっぽど運がいいかです。FXで目指すべきリターンは、せいぜい10~15%(レバレッジ3倍)、つまりレバをかけなければ3%~5%でしょう。以前であればスワップポイントで短期金利キャリー戦略も取れましたが、今では先進国(G10)ではどこも金利が0近辺で無理です。通貨のダイレクションを当て続けるということはかなり難しいテーマですが、上述したロジックや関連書籍を使って基礎をしっかりと固めてから本格的にリスクを取り始めないと、大負けして退出する羽目になります(経験として少額で試すのはいいと思いますけど)。


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東京ベースの投資家です。為替・債券・マクロ経済・少し学術的なことをメイントピックとしています。小学生の塾・学習情報や旅行・料理・レストラン情報といった趣味についても書いています。

学生時代は中学受験大手塾で塾講師をやっていました。また、戦略コンサル・投資銀行でのインターンや金融実務経験があります。

あくまでも趣味でやっています。皆さんの参考になればうれしいです。

東京の国立大、米国MBA卒