投資

ファンドマネージャーを目指す人へ(金融機関で働く若手向けの導入知識)

投稿日:2020年7月15日 更新日:

就職や転職活動をする中で、金融を志す人はまだまだ多いと思います。その中でも、投資銀行(IB)業務と並んで人気の投資業務を紹介し、関連する知識をつけるための書籍を紹介します。

機関投資家もいろいろ

投資家には様々な種類がいます。大半が個人投資家でしょう。しかし、世の中には他人からお金を預かって運用している人間もいます。それは2つに大別されます。

1つは、銀行・保険会社・証券会社といった金融機関や年金基金・事業会社の財務部門。これらはお金が業務を通じて集まる、若しくはすでにある人達です。これらが資金を運用するために投資を行うことを自己勘定投資といいます。
 業務の性質上、証券会社⇒銀行⇒生命保険の順に投資ホライズン(期間)が長くなります。よく、ニュースで国債の超長期債を生保が買っているというニュースがでますが、それは投資期間が長く30年程度の国債迄投資可能だからです(生命保険の加入期間は通常非常に長いですよね)。したがって、生保の投資担当者はBuy&Holdという買ったら償還まで持ち、キャッシュフローが投入時に確定する債券を好んで買います(というかそうしなければなりません)。
 他方、証券会社(債券を想定)は、マーケットメーカーとして在庫を抱えながら顧客の反対側で売買をします。在庫保有期間は通常6か月~1年ですので、常にポジション(ブックと言われます)を入れ替えます。銀行はその中間ですね。

もう2つは、資産運用会社でこの中にはロングオンリーと言われる大手運用会社・ヘッジファンド・プライベートエクイティなどです。これらの会社は先ほどの金融機関や年金基金から、または皆さんが良く買う公募投託を通じて資金を預かり、投資を行います。これを他人勘定投資といいます。
 どのお客さんから資金を預かるか、どんなガイドラインを設定するかで運用方法が変わってきます。したがって、幅広いものに対応する必要があるとともに、自己勘定投資にはない、顧客説明力も求められます。

クオンツ・ジャッジメント・アクティブ・パッシブといった投資スタイルは自己勘定だろうと他人勘定だろうとできますので、アクティブをやりたいからどちらかを選ぶということにはなりません。一つ言えるのは、マーケットで売買のみをやっていたいという人は前者の自己勘定投資の方が向きます。他人勘定投資は、顧客への説明力が求められますし、営業もします。また、新たな運用手法を考えたり、ファンドを組成したりと、かなり広範な知識と技術が求められます。どれほど広範な仕事があり、その中でファンドマネージャーが中核であるかということを理解するには以下の2つの本を推薦します。もし、就活生であれば、金融全体のビジネスの理解にもつながるので、2冊の内、1冊でも読んでおくことをお勧めします。

投資担当者へのキャリアパスもいろいろ

銀行・保険会社・証券会社であれば、新卒一括採用で入社することになります。その人事異動で希望を聞いてもらえれば、投資部門に配属になり、上司の指示のもと市場と対峙することになります。
 しかし、人事異動は他人が決めるもので、必ず行けるという保証はありません。そして、投資部門に配属になれたとしてもその中で役割が細分化されているケースが多く、株・債券・為替・ファンド投資・マルチアセット投資などを一通り経験するには10年以上かかります。

対して、運用会社であれば新卒一括採用もしていますが、こちらは入社前に運用希望か聞かれることが多いです。初めは、バックやトレーディング部に配属されても継続して希望を言えば一回は運用部門に行けることが多いですね。
 ただし、企業規模として銀行や保険などと比べて小隊であることが多く、基礎教育に時間を割けない会社が多いと思います。したがって、理系や経済の大学院を出ている人が入りやすかったり、学部時代に、経済・金融・経営・法律・数学・コンピューターサイエンスなど、どれか1つでもまともに勉強した人間が好まれます。

個人的な体験でのインプリケーション

どちらを選ぶかはあなた次第ですが、銀行などで投資希望を出しても融資や審査、調査部に配属されることがありますが、これはこれで非常に勉強になりますし、投資部門に異動してから、ものすごく重宝されます。一見役立たないものが役立つのはよくあることなので、チャンスを待って今いる職場で頑張ればいいと思いますね。

私は、銀行でキャリアをスタートし、融資・審査・企画などを一通り、やってから投資部門に人事異動で行きました。その後、資産運用会社に転職しました。初めの融資や審査で企業投資のスキルが身に着いたことは非常に大きかったです。日本の資産運用会社にはクレジット(企業)投資できる運用者が極端に少ないので、非常にバリューアップできました。しかも投資部門に行ってからはすぐにポジションを持ち、自分の裁量で投資を行ったので(今思うと知識がやや足りていませんでしたが)、個人としてのトラックレコードも蓄積できました。

資産運用会社はスキルを持った若年層を非常に好むので(理由は上に書いた通り教育キャパ・FMの指導力の問題)、関連スキルを身に着けてから転職アプライするということでもいいでしょう。その際は、30歳迄が理想です。日本では40歳ぐらいまで担当者レベルで採られますが、グローバルには遅すぎます。40で入って43歳ぐらいで第一線で活躍できるようになったとき、世界では30歳から主力として経験を積んでいるライバルが多く、ビハインドする人が太宗です。

運用会社の中はどうなっているのか、仕事の種類は?

運用会社の代表格を知りたいという人がいたら以下の本をおすすめします。キャピタルというロングオンリー投資家では非常に有名な米系の運用会社で、株式投資に定評があります。運用組織をいかに作っていくか、という点で非常に参考になります。学生や転職検討者のみならず、運用会社や金融持ち株会社で企画を担当している人にもおすすめです。

少し古いですけど、フィデリティというこちらも米系運用会社で株式投資に定評がある会社の関連本です。フィデリティは運用責任者(ポートフォリオマネージャー)が社内的にステータスが非常に高く、基本個室持ちらしいです。羨ましい。。。

ヘッジファンドを数多く紹介している本です。ⅠとⅡに分かれており、LTCM、 ソロス、DEショー、ポールソン、シタデル、タイガー、チューダー等が出ています。物語としても読めるので、ベットタイムリーディングにお勧めです。

13人のファンドマネジャーにフォーカスした読み物です。テッパーなんかがでてますね。サラッと読むにはいい本です。

投資スタイルもいろいろ

大きく分けて、パッシブ・アクティブにわかれます。パッシブはインデックス(指数)に追随する運用を目指すので、トラッキングエラーというファンドと指数のパフォーマンスズレの最小化を目指します。実際は、指数は少しだけ上回るように運用しないと追随できないですが、とにかく投資判断というよりも市場構造や売買スケジュールの管理能力、オペレーション効率化スキルなどが求められます。流動性が低い市場では交渉力もいりますね。

アクティブは、インデックス(指数)を上回るリターンを獲得することを目的とします。したがって、市場が織り込んでいない情報等を探り適正水準に戻ることを狙う方法(ファンダメンタルズ)、ボラティリティが高まると中心回帰性を利用してタクティカルに利益を積み上げる方法(市場特性)、市場参加者の動きをチャートでとらえポジションをとる方法(テクニカル)、どんな方法でも勝つことが重要です。また、絶対リターン運用という指数に関係なく、どんな局面でもリターンをとるもの(ヘッジファンド的)もあります。

クオンツ運用は、アクティブでもパッシブでも使え、数理モデルなどを使ってポジションを調整するものです。また、最近でもスマートベータという指数にルールを加えて、恒常的に指数を少しずつ上回ることを目的とした運用もあります。

ジャッジメンタル運用は、マクロ経済・企業分析・市場分析などを定性的情報も混ぜながら投資判断をする手法です。私はこれをやっています。ただし、全てを定性情報でやる運用者は今では珍しく、クオンツ的な要素も取り入れながらやっています。

投資業務のおすすめ読み物

アルファとは

「アルファを求める男たち」アクティブ運用の理論的なバックグラウンドをわかりやすく解説した本です。世界的にも有名な本で読んでいる人も多いでしょう。効率的市場仮説にどのようなロジックで反していくのか、やはり行動ファイナンスがメインですけどね。

国家の資産運用

大きなマネーの動きを感じられる本として、「国富ファンド・ウォーズ」があります。各国のソブリンウェルスファンドがどのような動きをしているのか知ることも面白いですよ。

リスクリターン

「資産運用の本質―ファクター投資への体系的アプローチ」という本は、平均・分散アプローチベースではどうなるか、ファクターベースではどうかということが読み物としてわかりやすく説明しています。

インデックスファンド押しの本も読んておくといい

とくブログやYoutubeで投資はETFやパッシブファンドがいいという話が出てきますが、その背景を知ることができます。

インデックス投資のいろいろ

これは、ETFなどの運用の実際がわかります。非常にわかりやすいので、本気で投資業務を希望する場合は読んでおくといいです。

株系でおすすめの本

ペンシルバニア大学ウォートンのシーゲル教授の本で、長期投資の観点を教えてくれます。英文で読むことをお勧めします。

債券系でおすすめの本

「債券運用と投資戦略」は、債券の基礎知識、リスク許容度とリスク・コントロール、リターンとリスクのトレードオフ、リスク要因の取捨選択、ALM、パフォーマンス評価を網羅的に書いています。

ヘッジファンドのリターンはどう出ているか

英語の本ですが、ヘッジファンドパフォーマンスの出し方を計量的に分析したものです。そのパフォーマンスを複製する研究をおこなっているMITのLo教授の本です。よく日本でも公演しに来てますよ。

まとめ

機関投資家の種類、投資担当者になるキャリアパス、投資スタイルも様々ですが、本編では網羅的にカバーした情報を提供しました。運用会社の中はどうなっているのか、仕事の種類について、また投資業務のおすすめ読み物を紹介したので、是非手に取って読んでみて下さい。学生にも読める内容なので、投資業務を志す人たちはこの情報を使って勉強してみてください。

勿論、株式投資をファンドマネージャーとして行うなら企業価値評価、債券ではイールドカーブ分析とクレジット分析、ヘッジファンド戦略であればプログラミング・フィルタリング等の高次元の統計手法が必要ですが、それぞれ大量の記述になるので、別編で書こうと思います。より知識・スキル系としてまとめる予定です。


FX・サラリーマン投資家ランキング にほんブログ村 経済ブログ 金融経済へ
にほんブログ村

-投資
-, , ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


関連記事

20年7月5日時点の外債・為替ビュー

来週一週間の大まかな為替・債券の方向性を考えます。 先週は以下3つの経済指標が良好な結果となったことが相場押上げ、S&P500は4%近くも上昇。・5月の中古住宅販売仮件数が市場予想を大幅に上回 …

FX初心者が負ける確率を下げるための分析や管理方法

FX関連の情報を見ていると、とても危なっかしい情報にあふれています。大手の機関投資家では取り得ないようなリスク量でシステムシグナルに基づき盲目的に売買をするもの、定性判断も使っているがYoutubeな …

米国雇用統計の見方

お名前.com Contents1 雇用統計構成の2つの調査2 非農業部門雇用者数2.1 非農業部門雇用者数の中身の見方2.2 雇用面から個人消費の動向を考える2.3 労働市場全体の先行指標としてのサ …

20年6月25日:DayBack

金融機関のストレステストの結果を受け、9月末まで増配や自社株買いが金利されたことで、金融株が大幅下落。前場中にテキサス州知事がコロナの感染拡大によりバーの営業停止とテスト欄の営業制限を指示、フロリダ州 …

ドル円急落:7月24日

米中対立激化が背景。106.65、106のレジスタンスを共にブレイク。MarkitのPMIは製造業・サービス業ともに予想を下回る。止め材料がなかった。。。sトップ置いてなくて傷んでいる人多数と推察。 …

東京ベースの投資家です。為替・債券・マクロ経済・少し学術的なことをメイントピックとしています。小学生の塾・学習情報や旅行・料理・レストラン情報といった趣味についても書いています。

学生時代は中学受験大手塾で塾講師をやっていました。また、戦略コンサル・投資銀行でのインターンや金融実務経験があります。

あくまでも趣味でやっています。皆さんの参考になればうれしいです。

東京の国立大、米国MBA卒