【中国】10日、7月の消費者物価指数は前年同期比+2.7%であった一方、生産者物価指数は同▲2.4%に。大洪水の影響で豚肉価格が同85.7%上昇するなどコストプッシュ型の物価押上げが顕著。7月の経済全体のファイナンス規模は、金融緩和姿勢を後退させている人民銀行の姿勢を反映し、市場予想を下回る規模。7月の鉱工業生産指数は前年同期比+4.8%増となったが、小売売上高は同▲1.1%と、ともに市場予想を下回る水準。工業生産が景気回復を主導している状態が続いており、民間消費はなかなか伸びない現状を見ると、比較的堅調な中国経済も慎重にウォッチしていく必要。
【香港】4‐6月期のGDP成長率は、市場予想通り前年同期比▲9%減。政府支出は約10%増であったが、家計支出が▲14.2%、投資が▲21.4%、サービス輸出が▲46.1%と大幅に下落。香港の金融センターとしての地位は今後低下が顕著となると思われる。
【インド】7月の消費者物価指数は、前年同期比+6.94%と市場予想を上回る。ベース効果で今後低下が見込まれるが、食品価格が年初来から大幅に上昇しており、インフレターゲットの上限を6%としているRBI(インド中央銀行)にとっては緩和バイアスを当面調整しなければいけなくなると思料。6月の鉱工業生産指数は前年同期比▲16.6%と市場予想ほどは落ち込まなかったものの、コロナの影響が色濃く出ている。
【韓国】7月の失業率は4.2%と市場予想を下回る。しかし、日本製鉄控訴中の徴用工案件に大きなダウンサイドリスクがあり、とても安心できる状況にはない。
【マレーシア】 4‐6月期のGDP成長率は、前年同期比▲17.1%減と市場予想を上回る落ち込み。貿易収支の黒字幅は市場予想を上回る水準。コロナによる経済活動の抑制度合いは他国比強くないものの、原油価格の低迷長期化や政治的混乱が投資の抑制などを招いていると推察。4‐6月期の経常黒字幅は予想を上回り、通貨にとってはポジティブ。
【シンガポール】4‐6月期のGDP成長率は、前年同期比▲13.2%減と、建設需要などが剥落したことが背景。


今週は、中国のLPR(ローンプライムレート)、インドネシアの貿易収支・政策金利、マレーシアの消費者物価指数、フィリピンの政策金利、シンガポールの非石油輸出、タイの4‐6月期のGDP成長率が注目点。中国のLPRは据え置きとなり、米金利が先週上昇したことで中国国債金利も上昇方向が継続するだろう。インドネシアは・フィリピンは政策金利を据え置く見通し、エマージング債売りの季節性もあり債券も通貨も売られやすいと予想。また、韓国は徴用工判決通りの対日強硬策(現金化)に出た場合は、経済的・軍事的対立激化に繋がり(その場合は日本での敵地攻撃能力の肯定に拍車がかかるだろう)、両国関係は敵対関係に変貌するとの連想から、日本のみならず、周辺国からも売られるものと考える。
その他のアジア債券・為替も全般的に軟調を予想(マレーシア・シンガポール・タイ・インドは比較的堅調を予想)。



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